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土佐絵日記

アメイジング、グレース。

近所にお店がない、ない。だからといって高知に出れば電車を間違えてしまう。最早、弾尽き剣も折れ、電車を間違えてでも市内へ特攻するしかあるまいと思われたが、歩いて二十分程度のところに居酒屋を見つけた。車で前を通ることはあったのだが、目にする名前が「グレース浜」という居酒屋にしてもリストランテにしても入るのを躊躇させるセンスなので敬遠していたが、やる気を振り絞り呑んできた。

 

この日は土佐らしくスカっと快晴で夕方近くとはいえ、まだまだ太陽はジリジリと我々を焼き、歩くのはまさに艱難辛苦。「やっぱりやめればよかった。」などと弱音を吐きつつ、お店に向かう道すがら住宅街を歩いていると、嬉しい誤算があった。住宅街の中に機動隊の基地と警察学校があるのである。見たことのない警察車両、体育館から剣道だろうか?柔道だろうか?聞こえてくる気合の声。珍しい光景を見れてなんだか妙に嬉しく、暑さも吹き飛んだ。

機動隊を眺めて気分良く、足取りも軽やかにグレース浜に到着すると、店内は長いカウンターに座敷が沢山。広いお店がほとんど満員で焦ったが、なんとか座敷に席がとれた。「ここは予約がいるのだね。」と話しながら最初の注文はさんまの押し寿司。

 

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さんまの押し寿司。さんまは半締め。

東京ではいきなりご飯ものを食べることは余りないように思われるが、土佐では最初に寿司を食べる。最初にご飯を食べることでお酒の周りを穏やかにさせる知恵で、私もこちらではそうしている。さんまは半締めで酢飯には刻んだしょうがと青しそが入っていて、こってりとしたさんまと相性がすこぶる良い。これだけでお腹いっぱいにしてしまいたくなるような一品である。

 

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うるめいわし。きときと。

次いでうるめいわし。土佐はうるめいわしの一大産地でこちらのいわしは苔の香りはせず、爽やかな香気が特徴。つけあわせのきゅうりがいわしに負けずに味が濃いのが嬉しい。

 

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貝柱のかきあげかきあげ。これはいまいちだった。

貝柱のかきあげはイマイチだった。土佐の天ぷらはバリバリすぎる。

 

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ハモの湯引き、梅肉あえ。

関東人はハモに対してこれといった思い入れがない。それどころか好きではないことが多い。私もその例に漏れず、ハモなんて食べなくても全く構わないと思っていたが、これは美味しかった。ふわっとした身は冷水につけても味が抜けておらず、皮はクニュクニュと良い生ハムのように噛み続けるといつまでも良い香りと味が出てくる。

 

 

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何かの唐揚げ。

いい加減に酔ってきたので、なんの唐揚げかは忘れてしまったが、地の小魚の唐揚げ。サクサクと口寂しい時にちょうど良い珍味で、なんだか良くわからないが美味しかった。

 

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餃子。アメリカンチェリーが眩しい。

土佐は意外と知られていないが餃子どころで年間消費量はさほどではないが、県内に名店が多い。普通の居酒屋の餃子も美味しく、こちらのも美味しかった。

 

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くらげ。すのもの。

酔って食べて、もういい加減腹が一杯になってきたので、くらげの酢の物。これが大変な美味であった。最初に頼めば良い付き出しだったろうなと、思う。

 

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ソーメンチャンプルー。

締めはソーメンチャンプルー。しゃっきりぽんとした野菜にソーメンの柔らかい歯ざわりが楽しい。こういった普通の居酒屋メニューが美味しいのも嬉しい。

 

三人で普段の二人なら絶対に食べきれない量を食べた。そうでなくとも土佐は料理の盛りが良いので、三人でもかなりの満腹になった。「やはり外食は多人数が楽しいね。それに名前は何だけど、いいお店だったねえ。」と、いい気分で笑いながらお店を出ると、外はさっきまでの快晴はどこへ、一歩出ればずぶ濡れになるほどの豪雨だった。

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