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土佐絵日記

大阪

これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関

 

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蝉丸 生没年不詳

 

逢坂、大阪。諸説あるけども大体同じところを指すようである。私にとっても大阪は妻の両親に逢う逢坂だ。そんな逢坂でカツサンドを義母と妻と食べてきた。

千里中央の電車のホーム近くの喫茶店アストリア、大阪では有名なお店でお昼になるとご婦人たちが行列を作り、その列は通天閣を一巻きするほどの長さになるという。私たちが着いたのは二時近くだったが、それでも行列は健在で十五分ほどで入れたので、比較的マシな方だったと思われる。陣取ったのは厨房ががぶりつきで見えるカウンター席。注文は三人とも当然カツサンド。

 

注文をすると決して広くない厨房でカツが揚げ始められ、同時にトーストを鉄板で焼き始める。我々以外の注文もあるので、一度に焼くトーストの数は十二枚。その鉄板の姿はさながらベルトコンベアーだが、焼いているのは一人の料理人で、その一人がトーストもカツを揚げるのもさばいていく。実にテキパキと無駄のない動きでトーストを焼き、バター塩胡椒、マスタード、野菜を準備する。

熟練の職人の仕事というのは料理であれ漆喰塗りであれ気持ちの良いもので見ていて飽きない。だからといって、飽きない飽きないと言っても、腹が減っているのも事実で次から次へとカツサンドが出来るのに、私の前に一向にそれが回ってこないと、永遠にカツサンドにはありつけない気がしてくるので実に不思議である。

こういう気分になると、さっきまで見惚れていた見事な職人仕事も打って変わって、拷問だ。腹は減るカツサンドはこない。ああ、もうだめだ。私はここでカツサンドができる様子を眺めながら餓死するのだ。そんな気分のところにやってきたのがこちら。

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このお店の玄人はカツと野菜がバラバラにならないように爪楊枝で一つ一つ刺して食べる。私も見習って爪楊枝で刺して口に運ぶ。出来立てあつあつでジューシー、おいしー。生野菜とカツ、そしてソースが相まって至福のひと時。さっき鳴いたカラスはどこやら、美味しく食べて穏やかな気分になったとさ。

 

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