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土佐絵日記

鯖と猫

ジャングルのような庭と一年の埃を被った家を綺麗にするのに、大体十四日を要する。

到着した当日は駐車場の草刈り、布団干し、寝室や風呂の掃除と最低限の食器、コップと小皿などを洗い、コンビニやスーパーのお惣菜で簡単な夕食をとる。二日目以降だんだんと家を使えるようにする。生存に直接関係のないガレージ、庭が最終的に整い、家を本格的使えるようになるまで酒も土佐の地のものもほとんど口に出来ない。

そんな簡素な生活を乗り越えると、「一杯飲むかな。」という気分になる。そういうわけで、行きつけの魚屋で鯖を買ってきた。

朝どれの鯖で、魚屋の主人が言うには「まだ少し旬には早いけど十分美味しいよ」という事だが、東京者としては旬の鯖とそうでない鯖の味の違いなど分かるわけもなく、鯖が生で食べれるだけでありがたい。東京あたりの料理屋では鯖の刺身などというと、二、三切れが小皿に乗せられてくる。それを野良猫のようにぺろりぺろりと舐めるように食べる。猫なら可愛らしいが、大の大人がいじましいというか卑しいというか、なんとも情けない姿である。

土佐者はそんな事をするはずもなく、土佐犬のようにガバッと口に頬張ってムシャムシャ食べる。最初はその食べ方に驚いたが、やってみると、なるほど、猫のようにぺろりぺろり舐めるのとムシャムシャ食べるのでは全く味が違う、そして鯖はムシャムシャ食べる方が美味い。

東京者がぺろりぺろりと鯖を舐めるのは、きっと猫が人間のふりをして料理屋に来ているからだろう。よく見てみるとお尻の下でしっぽが揺れているかもしれない。そんな風に思えば、大の大人が鯖を舐めるのも可愛らしく見えるかしら?いや、まあ、ないか。うん、ないない。

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本日の献立は鯖の刺身(一匹)、土佐牛のスカロッピーネ、焼きなすの土佐酢和え、ラタトゥユ、切り干し大根のしょうゆ漬けなど。酒は美丈夫純米吟醸。美丈夫純米吟醸はイマイチだった。

 

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